(味の感想は★からです)
私は風を感じていた。
風を感じるという表現は、よく爽やかな表現として扱われる。
風を感じると聞くと、黒髪の女子高生が学校の屋上で虚な目をしながらも遠くを眺めている、ような爽やかでどこか儚げな印象を抱く。
だが、私の今感じている風はそんな爽やかなものではない。
台風の接近による強風を真っ向から感じているのだ。爽やかさもクソもない。
自転車に乗っている私は風を影響をモロに受ける。
左に右にと吹き荒れる突風に体を揺らしながら、私は今回の目的の地、蒲田に急いだ。
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今回のお店は【煮干しつけ麺 宮元】さん。
食べログ東京百名店に選出された此方のお店は東京でも随一の濃厚さを誇るつけ麺がウリだという。
お店は蒲田駅から少し歩いたところ。
西蒲田にずらっと並んだ行列がお店の目印だ。
食券を先に買ってお店に並ぶ。
蒲田はぱっと見はオフィス街のようなイメージはないのだが、客層が渋谷や新宿のようなサラリーマンの方が多くてちょっとびっくり。
つけ麺専門店には珍しく?女性のお客さんも多い。
こちらのお店は回転率がかなり早め。
サラリーマンのお客さんが多いのも頷ける。
結局7.8名ほど並んでいた列に並んだにも関わらずだいたい15分ほどで着丼に至る。
スタッフさんは二人だけなのだが、何故こんなに早いんだろうか。
ちなみに煮干しのお店でありながら店内に、魚臭がしない。そこも女性に人気の秘密だろうか。
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★・特製極濃煮干しつけ麺 1190円
濃厚な煮干しのつけ汁が照明に反射してプリズムしている。
横には綺麗に畳まれた太麺。絶景かな。
まずは麺オンリーですすってみる。
小麦の風味が素晴らしく、ほんのり甘さを感じるレベル。
しっかりと麺はしまっていて噛みごたえがあるが、何故が噛み進めるとネチっとした柔らかさを感じる。
不思議な麺だ。これは旨い。
つけ汁は濃厚が故に照明に反射してキラキラしている。めちゃくちゃ濃そう。
早速麺をつけ汁につけて一口、、、
うはぁー!濃いー!うめぇー!
極濃の名に恥じないとにかく煮干しを凝縮したつけ汁はもはや魚のみの塩分で塩辛く感じる程の濃度。
しかし、この塩辛さはあくまで自然な塩辛さなので、添加的な嫌な塩辛さでは決してない。
それでいて煮干しの臭みも感じず、甘さと旨味がバランス良く感じられる。
脳天直下でおいしさを確信する。
そんな味わい。
麺との相性も抜群で、少し甘さを感じる麺のおかげで、よりつけ汁の甘味が増して、食べやすくなる。
もっと、煮干しのえぐみも味わえ!みたいな無骨なつけ麺のイメージがあったが、とても良い意味で裏切られる。
食べる前はドラえもんの通常回のジャイアンのような印象だったが、食べてみると映画版の優しいジャイアンだった。みたいな感じである。(どんな感じ?)
非常に味がまとまっていて、それでいて極濃なパンチ力もある。
非常にレベルの高いつけ麺。
これは生涯ベスト3に入るという意見も頷ける。
最後に割スープを加えてさらっと完食。
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帰り際、常連のサラリーマンの方が転勤で蒲田を離れるという話を店主さんとしていた。
その常連さんが店主さんに言った一言が、このお店を象徴する言葉のように感じた。
「これ食べる為に蒲田には来るから!また宜しく!」
それではごちそう様でした。