(味の感想は★からです。)
私は疲れていた。
日々の喧騒に揉まれていると言えば、皆各々が日々何かに揉まれ、足掻きながら生活している。
とはいえ、そんなもの私が知ったこっちゃない。
疲れたものは疲れたのだ。俺も疲れてる。なんてそんなの私には関係ない。
あまりの疲れに無意識のうちに今までとったことの無い二連休を取ってしまっていた。
気付いたら勝手に二連休を作っていたのだ。察して欲しい。
二連休をとったは良いものの、人間はそうそう簡単に休むことができない。自然界において、休むという行為は常に危険と隣り合わせ。
未だに古代の血が色濃く残る我々人類に100%の休息などないのである。
時計をはたとみる。
二連休の1日目は友達とオンラインゲームを楽しんでいる頃に終わりを告げていたらしい。
結局普段と何も変わらない日常。
楽しいのには違いないが、別段ストレスが発散されたわけでも体をリフレッシュしたわけでもない。
ただただ1日がおわる。そうして1日が終わる。
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連休二日目。
生憎の雨ながら、小雨だったので自転車で食べ歩きに向かう。
今回は気になっていたお店と、地元の人気店の東京店舗に伺った。
旨いものを食べて、何が不満なのか。と聞かれても分からない。
ただ変わらない日常。変わらないからこその安堵と焦燥。
特段何か悩みがあるのかと言われたらわからない。
ただ漠然とした日々は少なからず私の心を磨耗させるのには十分なことぐらいはわかる。
家に帰ろう。
自転車に跨り、帰路に着く。
帰り道でカフェやパティスリーに寄って、家でケーキを食べる。
私の中の日常。
変わらない日常のページを塗りつぶすようにお店を探す。
今回の目的のお店は【アール座読書館】さん。
所謂読書カフェで、私語は慎み、ただ一人の時間を楽しむカフェである。
最近はコーヒー専門店ばかりいっていたので、割と読書をしにカフェにいくのは久しぶりであった。
そういえば、私がカフェ巡りにハマったきっかけを思い出す。
知的な本を読む女性がタイプだった私は、それならば私も知的な本を読む男性になればいいのでは?と安易な考えで小説を抱え、近くのカフェに通ったのがきっかけだった。
当時、本を全く読むことのなかった私はブックカバーもつけずに、小学生の頃に買った小説「注文の多い料理店」を年季の入った文学書を読んでいる風にカッコつけて読んでいたことを思い出した。
結果的にそこから本を読むようになり、今では本屋さんに通うのが日課になった。
最近そういえば全然読めてなかった。久しぶりに読書でもしよう。
私は疲れた体を起こし、帰り道とは逆方向に踵を返す。
高円寺に向かおう。さぁ、いこう。
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お店の入り口は防音?なのだろうか扉が分厚い。
喫茶店のカランカランといった薄い扉とは違い、何か別の世界に繋がる扉のような気がする。
店内は静かで、軽いBGMと水槽の水の音、僅かに擦れる紙の音が心地よい。
緑を基調とした、魔法使いの嫁の世界観のような(伝われ)知と静が混ざった空間は私の好みな雰囲気たっぷりのカフェである。
間接照明を基調としたヒカリは落ち着きがあり、雨漏りした水を貯めるポリバケツが置いてある感じもなんとも言えない。
席は空いていてどこでも良いみたい。
こういうお店はルールがしっかりあるので初見ではちょっと怖かったが、とりあえず店員さんに怒られるまでは自分の力でなんとかしよう。
とりあえず席に座る。
一つ一つの席が少しずつコンセプトが違う様相。
とりあえずメニューを開く。
オーダーはアイスコーヒーとブラウニー。
店員さんがめっちゃ小声(あとめっちゃ可愛い)だったので私も小声で注文。
数分前に食べたラーメンのニンニク臭は辛うじて防いだつもりである。
メニュー表には色々と注意書きが書かれていた。
だが、なんというか堅苦しいルールがあるわけではなく、お店のコンセプトというか、割と自由で良いんやなーって感じのことが書いてあり一安心。
読書館という店名なので、メニューはある程度適当なのかと思えば、コーヒーも拘られていて、品種の説明があったり、飲み方も色々あったり。
するとメニューの最後に席毎の説明が書いてあるページを発見。
やはりそれぞれ席毎にコンセプトがあるらしく、アクアリウムを楽しめるお席、万華鏡スコープがあるお席、学習机に座れるノスタルジックなお席、とその日の気分によって色々な楽しみ方が出来そうな席ばかり。
そしてびっくりしたのが、私の座ったお席の説明。
「柱に囲まれたこのお席はおこもり度No.1。」
と書かれていた。
私の引きこもり度がどれほど高いかを皆さん察して欲しい限りである。
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★・アイスコーヒー
・ブラウニー
まずはアイスコーヒーとブラウニー。
アイスコーヒーはすっきりとした飲みごたえが心地よく、喉が乾いている時は少し注意が必要な飲みやすさ。
落ち着く店内の雰囲気と相まって落ち着く味わいのコーヒー。素晴らしい。
ブラウニーもしっかり濃厚ながらもブラウニーとしてはあっさりした部類に属するだろう。
非常に食べやすい。だが、こちらもゆっくり食べ進める。
ゆったりとした時間を過ごす。
さっきまで色々考えていたのが馬鹿らしくなる。
いつものようにカフェで口コミを書き連ねる。
いつもよりも筆が進み(タップが進むかな?)たくさん書いた。書いた。
特段この作業がなにか生産的なわけでもなんでもないのはわかっている。
ただ、文章を紡ぐのが好きな私は口コミだと言われているのに、少しの物語と長ったらしい説明を書く。
まぁ、でも別にそれで良いのかもしれない。
この世の中には創造でも、現実でも、実に沢山の物語がある。その全てが決して劇的なものばかりではない。
往々にして日常を切り取った作品が流行るのも、やはり皆んなが日常の中に生き、日常を嫌い、そしてどこか日常を愛してしまっているからなのかもしれない。
・アップルシナモン
全然関係ないことを長々と。
気を取り直して、、
アップルシナモンはその名の通りなアップルの爽やかさとシナモンの香りが素敵な一杯。
甘くてスッキリとしたアップルジュースは二杯目には最適な飲後感。
コップが虹色の細工が施された可愛い色彩でテンションが上がる。
店内の振り子時計は30分毎に鐘の音を鳴らす。
正直何回鐘の音を聞いたかは分からないが、久しぶりにリラックスできた気がした。
みなさんも少し落ち着きたい時、心が休まらないことがありましたら是非アール座読書館に訪れてみて下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
明日からまた頑張ります。