noamankurou

食べ歩いたお店の紹介をしています。

文字では伝わらない魅力。それでも伝えたい。『食』という体験を通して紡がれる、2時間の物語。

(味の感想は★からです)


今回のお店は【薪焼ステーキ コケット】さん。

町田にありますは「シークレットバー」を併設した大人のためのステーキレストラン。
薪焼の魅力を最大限に引き出す「自社熟成ドライエイジングビーフ」を使用した極上ステーキを中心とし、地元の食材・文化にこだわり、料理のジャンルにとらわれず、『武相料理』として表現。
素材を活かし、香り・食感・生産者の想いを一皿に乗せ、星付きレストランのシェフが腕を振ってくれるお店。(食べログ同店ページ『お店のこだわり』より引用)


私がコピペをするなんて珍しい。
というのも、残念ながら私の表現力だけではこのお店の魅力を100%伝えるのは無理だと判断したからだ。

『食』という体験を通して、紡がれる2時間の物語。

その体験は、映画館で映画を見るような、大切な人とネズミーランドで過ごす思い出のような、そんな感覚。それを是非とも楽しんでいって欲しい。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お店は町田駅からほど近い、AETA町田の8階。

時刻は19時ごろ。
エレベーターのドアが開くと、暗がりのシックな雰囲気。
目の前にはカジュアルに広がるダイニングバー。予約したお店と名前は違うのが気になったが、予約確認もできたので少し待っていると、お店の方に「それではこちらへ」とお店とは逆側のトイレの方に案内される。
一瞬「ん?」って思ったが、言われるままについていくと「実はここが入り口です」と行き止まりに小さく「coquette」の文字。
もうワクワク。もう面白い。
ちなみにさっきのお店はSTRIというダイニングバーのお店で、コケットさんと同系列店でした。


ドアがスライドすると、目の前には『シークレットバー』が登場。映画の世界に迷い込んだかのような秘密の社交場のような雰囲気。
カウンター席に通してもらい、ウェルカムドリンクの提供。
フレッシュの苺を使用したスパークリングワインのカクテル。
苺由来の自然な糖度が心地よく、気品あるスパーリングワインの香りが抜ける。いやん、美味しい。


そこから隣のテーブル席へ移動。
一度の食事で場所を変えるという演出が楽しい、嬉しい、大好き。
落ち着いた雰囲気のメインフロアですが、隣のダイニングバーのガヤガヤとした感じが、一層秘密の空間感を演出。静かすぎるお店だと、どうしても緊張感がありますが、コケットさんは雑踏がBGM代わりになっているおかげか、高級感のある雰囲気なのに、なぜか気負わず、落ち着ける。


お店の方からコケットで提供される料理の想いや物語をお話ししてくださいます。
これは文字よりも実際にお店に行ってからの方がよく分かります。やはりLIVE感とは大事なものです。


今回のコースは【熟成 黒毛和牛 肩サンカクとスペシャリテのステーキコース】でドリンクは【ペアリング】
お料理ごとにワインのペアリングをしてもらえます。お値段も4杯3000円程と内容にするとかなり破格。ワイン飲める人ならこれはマストかと。


しばし待っていると前菜とペアリング到着。ワインは白。
ここから2時間の幸せが始まる。


それではいただきます。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜★
★・熟成 黒毛和牛 肩サンカクとスペシャリテのステーキコース 7800円
 

f:id:u_0301:20220312182150j:plain
★前菜8種の盛り合わせ
武相地方の山の幸、海の幸を一皿に閉じ込めた豪華絢爛な前菜の盛り合わせ。
お店の方から一つ一つ、丁寧に料理の説明、食材の説明をしていただけます。

・菊芋のスープ
下処理が難しいという菊芋のスープ。丁寧に下ごしらえされたスープは、菊芋、水、塩、ベーコンの旨味のみとは思えない分厚い旨味と甘味。ほんのりと感じる土感も心地よい。

・小清水さんの小さな農園
農家の小清水さんの真摯な野菜作りに感銘を受けたコケットのシェフがそれらの野菜を再構築。
程よい塩気と、野菜とは思えない甘さが抜群。

・マグロの燻製シュークリーム
安心安全の三崎産まぐろの卵を使った逸品。
嫌味のない鮪の磯感と濃厚な旨味。燻製の香りも乗って、サクサクと噛み締める食感も楽しい。

・町田しいたけのマカロン
マカロンのサクサクとした甘味のあとにしいたけの香り。デザート味のある味わいだが、しいたけの風味がワインを進ませる。

・三浦トロ鯖の炙り
しっとりと脂の乗ったトロ鯖は、ジューシーな食感と鯖の良い香りがたまらない。ペアリングのワインとの相性抜群。

・岩海苔のパートブリック
一口食べればもの凄い岩海苔の香り、風味。
岩海苔を圧縮したかのような味わいは、前菜の中ではお口直し的な役割だが、あまりにも贅沢なお口直しだ。

・海老のカダイフ包み
トルコ料理のカダイフ麺で包んだ海老ちゃん。
非常に旨味の濃い海老ちゃん。前菜としてはもったいないほどの濃いー旨味。まじで美味しい。

・ブロッコリーのソフトクリーム
仄かなブロッコリーの甘さとキャビアの塩気。味わいはシンプルながらも丁寧な仕事ぶりが手に取るように伝わってくる一品。

ペアリングは白ワイン。
癖のない爽やかな味わいは多種多様な前菜達の邪魔をせず、馴染む様に溶け込む。空気の読める人気者って感じ。白ワインってスッキリしてるけど、後味の癖が気になる印象があるのだが、こちらの白ワインにはそれがない。故に美味しい。

f:id:u_0301:20220312182208j:plain

★スペシャリテ 至極のフォアグラムース
シガー仕立て

葉巻きを模したフォアグラムースのスペシャリテ。お皿はシガーの灰皿。ものほん。

シガーから溢れる灰をイメージしたブルーベリーの粉末と火種をイメージしたブルーベリーペースト。お店のコンセプトである『分解と再構築』を一皿に落とし込んだ逸品。


フォアグラの芳醇な香りが心地よく、ブルーベリーの滋味深い甘さもグッとくる。フォアグラの料理はフォアグラの濃厚さを全面に出す料理が多い印象ですが、こちらのフォアグラムースは軽やかにフォアグラの美味しさを楽しめる。


合わせるワインは貴腐ワイン。
リッチな甘さと気品高い甘さを感じる、いわゆる極甘なテイスト。
フォアグラとの相性はこれ以上ない感じ。
フォアグラムースが軽やかな分、合わせるワインが濃いほど嬉しい。


f:id:u_0301:20220312182216j:plain
★魚 三浦鮮魚のポワレ
  里芋とヴァンプランソース

肉厚ジューシーな鯛のポワレ。
優しい甘さが後引くソースに、しっかりと脂の乗った鯛が美味くないわけがない。


合わせるワインは白のシャルドネ。
フルーティーな香りと樽感の強い香り。白とは思えない重厚でリッチな味わいは、今日の踊るヒット賞確定。香りがかなり強いのでお魚との相性もバッチリ。

f:id:u_0301:20220312182226j:plain
f:id:u_0301:20220312182233j:plain
★メイン 熟成黒毛和牛肩サンカク肉のロースト マデラソース 小清水野菜塩パン包み

どでかい塊肉を切り分ければ、ピンクの断面が綺麗に花開く。美しすぎるローズピンク。
表面を覆う薪焼特有の香りと恐ろしくサシの入ったジューシーなお肉の脂が堪らない。
酒精強化ワインであるマデラを使ったソースと、ピクルスを活かしたぷちぷちマスタード
。間違いない組み合わせ。幸せの時間。
塩パンに閉じ込められた小清水さん御用達のお野菜。
程よい塩気とお野菜の甘さ。堪らん。

f:id:u_0301:20220312182238j:plain
★デザート 苺のチュロス
季節の苺をふんだんに使ったデザート。
フレッシュな苺とピスタチオのソース、その上には苺のチュロス。
食後の飲み物に紅茶を選択しましたが、そちらの紅茶もまさかのストロベリーティー。
ここまでペアリングされたら、もう何も言えません。最後の最後まで満足感が途絶えません。


f:id:u_0301:20220312182247j:plain

お料理もさることながら、お店のコンセプトや一つ一つのお料理、食材への想い、お店の方々一人一人の熱量の高さをひしひしと感じる素晴らしいお店だと思います。

私は食べ歩きを趣味としていて、お店の「料理」のファンになることはあります。ですが、「お店」それ自体のファンになったことは今までなかったかもしれません。それくらいに今日のコケットさんでの体験は、人に何かを刻ませるものを感じます。


私は言葉の力を信じています。
それ以上に私は文字の力も信じています。
それでも文字の力にも限界があります。
伝えたくても伝わらない想いは、自分で体験すること以外に成し得る術を知りません。


他の皆さんの口コミが異常に長いのも多分そのせい。私はそう思います。だって私も全然書き足りないから。


失礼ながら、まさか町田にこんな素敵なお店があるとは思いませんでした。
皆さんも機会があれば是非とも。その時は私に感想を教えてくださいね。


それではごちそう様でした。
とても美味しかったです。