(味の感想は★からです)
私は導かれていた。
銀座で目的の一杯を頂いた後、二軒目のお店をどこにしようか悩みながら銀座の街を歩く。
歩き慣れない銀座。
特段変わったところのない普通のアスファルトの道を歩いているにも関わらず、なんだか歩きにくさを感じていた。
人間は慣れを好む生き物である。
ある研究で判明したのは、人間が一日に行う行動の内およそ半分は習慣的な行動が占めているという。
常に考えて全ての行動を自分の意思で決めているかのように思えるが、実はその半分が自動的に決められた行動をとっているのである。
人間は元来から進化を好まない。
現状維持が最大の美徳と捉える文化はいまだに健在で、多くの人は何年経っても何十年経ってもそれほど人生は変わらない。変えられない。
変わらないことがダメなことだとは言わない。それは人それぞれの価値観であり、変わることにはリスクが伴う。それはお金のような物理的なリスクかもしれないし、心や精神的なリスクかもしれない。
ただ、“変わる”ということはシンプルに面白い。不確実な“変化”という営みは、自分が思い描かなかった世界へと導いてくれたりもする。
常に変化を求めること。それは退屈な人生に彩りを加えるスパイスである。スパイスの伝来により、文明は進化した。胡椒を一粒一粒測っていたなんてもの凄い話だってある。
私は導かれていた。
変化を求めて、不安定な足取りの中、銀座の街を歩いていると見つけてしまった。
“酒粕ラーメン”
文明開花の足音はすぐそこまで来ている。
それに気付けるかどうか、それは各々がどれだけ必死に自分の刀を研ぎ続けたかで変わってくる気がした。
切磋琢磨。
私はこの言葉がお気に入りの言葉である。
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今回のお店は【銀座 風見】さん。銀座の名店篝さんの系列?のお店であり、篝さんの隣にお店はある。
篝さんと迷ったが、久しぶりに酒粕ラーメン食べたくてこちらへ。
私は一度京都で酒粕ラーメンを食べたことがあるのだが、その時はあまりしっくり来なかったので、こちらでリベンジマッチを果たしたいと思い訪問。
店内は清潔感のある銀座らしい佇まい。
カウンターのみの6席。
店内少し狭めだが、圧迫感はない。
酒粕ラーメンの他にもつけ麺だったり醤油だったり塩だったりとメニューも豊富。
私はデフォルトの酒粕濃厚そばをチョイス。
トッピングのないかけそばもあるのでそこはお好みで。
回転はそこまで早くはないが、特段遅いわけでもない。隣に篝さんもあるので列が分散してそこまで並ばなくても入れそうである。
少ししてラーメン到着。
仄かな酒粕の香りを嗅ぐだけで体があったまる気がした。
それではいただきます。
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★・酒粕濃厚そば 1100円
三つ葉の緑、唐辛子の赤が黄味がかったスープに映える彩りが素晴らしい。
日本料理の面影を感じるビジュアルにテンションが上がる。
それでは早速スープを一口、、
おう!熱々!酒粕!美味しい!
酒粕特有の粘度が特徴的で、酒粕の味わいの奥にほんのりラーメンの出汁感を感じる。
この寒い時期にともかくぴったりなラーメンである。旨い。
粘度の高いスープに負けないぷりぷりの麺は食べ応え十分。啜るたびに酒粕の香りと風味が広がりまた美味しい。
具材が多く、おそらく他店の特製くらいあるので、1100円は妥当かもしれない。
トッピング全て旨いが、特に良かったのは味玉と厚揚げさん。
味玉はかなり上品な醤油の味わいがGOOD。
トロトロ具合も抜群で味玉でここまで違いを感じるのは珍しい。
中央に鎮座する厚揚げは炙られている関係か、スモーキーな薫製のような味わい。
是非とも一口でいただくのではなく、少しずつ食べて、ラーメンと一緒に食べてほしい。
ラーメンの薫りが変わり、また別の旨さが味わえる。
総合的にかなり酒粕に寄っていて、粘度も相まってなかなかボリューミー。
スープが冷めた頃にラーメンらしい出汁感が出てくるので、少し食べるのに工夫が必要なラーメンかもしれない。
それでも、私の持っていた酒粕ラーメンへの苦手感は完全に払拭できた。
それこそこれからの寒い時期にはぴったりのラーメン。是非みなさんも普通のラーメンに飽きてるとしたら“変化の時”ですね。
それではごちそう様でした。
美味しかったです。