都営地下鉄三田線。
自然と下町とが混在した風景を眺めながら電車に揺られる。
私は電車の外の景色が好きだ。
窓を一つ隔てた外の世界は、普段の生活で当たり前の景色でありながら、どこか異国の風景のようにも感じられる。
東京ではあまり見ないバッティングセンターの寂れた看板はなんだか私を悲しい気持ちにさせる。
時たま詩人のような気分になる私が向かう先。
それは天竺でも、吟遊の旅でもなく、ラーメン屋さんである。
ということで今回は【中華ソバ 伊吹】さんを目指す。
伊吹さんは東京ラーメン百名店に選出された煮干しのラーメンを扱うお店であり、ラーメンファンの中では『煮干しの聖地』と言われているらしい。
私の勝手なイメージはあるが、煮干しのラーメンで他のラーメンのジャンル、醤油とか豚骨とかと比べるとマイナー寄りな印象。
そんな煮干しで百名店。私少し気になります。
氷菓を食べるのにばっちりな晴天の中、お店に向かう。
お店は三田線の志村坂上駅から少し歩く。
駅前は大きなマクドがあったり、なんだかやっぱり東京だなーって。
少し駅から離れると結構大きな公園。
長い坂に沿うように作られた公園は勾配がある独特の形状。
中央には大きな池があり、おじさん達が釣りをしながら談笑している。とてもステキな空間。
その横に一際目を引く行列が。
およそ30人ほどの列。
たぶんラーメン好きなやつはコロナウィルスの存在を知らない。
そんなウィルスこの世にはないのである。
列の最後尾に並び、待つ。
結果的に1時間ほど並んだ。
その並んでいる間、近所のおばさまが行列を見つけてびっくりする光景を何度か見た。
聞いてくる方もいた。
中には一度わざわざ公園に自転車を停めて聞いてくるおばさまもいた。
気になるとどうしても確かめたくなるもの。それは古典部部長だろうが、通りすがりのおば様だろうが変わらないのである。
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店内はL字型のカウンターのみ。
スペースの三分の1を埋める煮干しの段ボール。私こういうの好きです。
煮干しの良い香りがする中、食券を購入。
こちら最近流行りの和え玉(味のついた替え玉)が人気らしいがシンプルにデフォの中華ソバだけ注文。
・中華ソバ 800円
いわゆるコンクリ系というのだろうか。灰色のビジュアルが食欲を掻き立てる。
ラーメンに立てかけてある、どでかいチャーシューも気になるが、早速スープを一口、、、
おう、旨いなこれ。
煮干しの旨味と塩気がこれでもか!とガツンと脳内を揺らす。
コンクリ系の煮干しスープって旨味が薄い印象だがこちらはしっかり旨味があり、奥行きがとれる。上手い。旨い。
麺は煮干し系定番のパツパツタイプ。
スープの粘度と相まって絶妙なバランスである。
チャーシューもいわゆる煮豚系であり、こちらは醤油の濃い旨味。
スープとのバランスも良く、食べ応えもありGOOD。
刻みタマネギは甘味が強めで、トータルで味のバランスがしっかりとらている印象。これが辛いと少し崩れそう。
美味しいラーメンを食べた後っていつもよりお腹がいっぱいになる。
理由は必要以上にスープを飲んでしまうから。あまりの美味しさにレンゲが止まらないのである。
結果的に比較的に量が少ないと思われるこちらのお店でお腹がいっぱいになってしまった。
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ということで今回は【中華ソバ 伊吹】さんにお邪魔しました。煮干しの聖地の所以がそこにはありました。
少しオペレーションが気になるところはありますが、まぁ気長に待てばそんなもんかって感じです。