☆プロローグ☆
肉が俺を呼んでいる。
夕方まで外苑前近くで用事を終えた私は人が行き交う明治通りを歩きながら肉の声を聞いた。
もちろん比喩表現ではあるものの肉の声が聞こえてしまったら最後、肉を食わなければいけない使命感にかられてしまった。
私は道のヘリに避けてスマホを取り出す。
できれば外苑前から渋谷に通ずるこの明治通り沿いにあればベストだなーと思いながらネットの海に潜る。
すると海底からキラリと光るお宝を見つけることができた。
渋谷駅からほど近いところに「トンテキ」の専門店があるではないか。
私はそのひとつなぎの大秘宝を手に入れるべく明治通りをそのまま南下。
程なくしてお目当てのお店、「東京トンテキ 渋谷店」に到着した。
お店は小さいビルの2階にある。
その下は居酒屋になっていて日曜の夕方から優雅に外の席で立ち飲みをしている人を横目に私は意気揚々と大秘宝へと続く階段を上がる。
一瞬、私の視界にアルコールにかまけて腕をさすり合うイチャイチャカップルが見えた気がするが気のせいだろう。都合の悪いことはすぐに忘れるたちである。
螺旋階段を上がり二階へ。
お店の中に入るといい意味で期待を裏切られる店内の清潔さである。
カウンターがぐるりと7.8席ほど。
奥には段が少し下がったところにゆったりとしたテーブル席がある。
勝手なイメージで駅近にあるゴミゴミとした狭くて人口密度がやばい洋食屋みたいな店内(それはそれで好き)だと思っていたので、ゆっくり食べれるのは「ステキ」な誤算である。
今回食べるのはステーキではないので許して欲しい。店員さんにトンテキ200gをオーダー。
ご飯大盛り無料とのことだが私はそんなにお腹が減ってなかったので小盛りに。
注文を終え出されたお冷やがお冷やではなくジャスミン茶であることにびっくりしていると、隣の白髪のおじさんが「トンテキ300のライス大盛り」とパワフルな注文をしていて、なんだか悲しくなってしまったことは忘れることにしよう。
兎にも角にも私的には嬉しいジャスミン茶の風味が口の中から離れるよりも先に大秘宝は私の目の前に現れた。
私の準備は整った。
目の前の秘宝を引き上げるべくナイフとフォークを手に取り、心の中でいただきますと唱えた。
☆味の感想☆
トンテキ定食 200g 1050円
お肉は200gといえどもかなりボリューミー!
最初から切り込みは入っていますが最終的には自分のナイフで切らないといけません。
早速一口。
旨いですねー
肉質しっかり系でガシガシ噛んでいきます。
臭みは全くなく噛んでいるのが心地の良い肉です。
タレも醤油ベース?なのかな「けっこう肉に合うというよりかは米が進む味」。
キャベツがけっこうがっつり入ってていい感じ。
キャベツをわしわしと食べながら肉の正しい食べ方を探る。
お肉はけっこう脂身のある部分があります。
これがけっこう難しくて「元々の大きさのままご飯と食べると絶妙に食べにくい」です。
というのもご飯と一緒に食べるにしてはサイズと脂身のバランスが悪くいい感じに口の中で混ざりません。
「オススメは元々切られてるサイズの半分に切る」これをすることで口の中でいい感じに混ざります。
またこのお店で「大事なのは肉の上に乗ってるガーリックチップ!」
これがあるなしでは本当に美味しさが変わります!
「正直この肉とタレだけではパンチが足りない」んですよね、、変に甘みが控えられてるせいでお肉食べてる時のジャンキーがないというか、、
「でもそのジャンキー感を補うのがこのニンニクチップ!
これをちゃんとお肉の上に乗せて食べるとニンニクの風味と醤油ベースのタレがトンテキにベストマッチ!
最高に美味しい!ようやく正解をみつけましたよ!」
こんなバカみたいに正解の食べ方とが探りながら食べるバカはいないと思いますがこのお店ではけっこう大事な工程だと思います。
これを知らないとチョット勿体無いし物足りないと思います。
ちなみに厨房はがっつり見えるようになっているのですが、数量限定のハンバーグがめっちゃ大きくて美味しそうだったので絶対次はそれ食べます。ハンバーグ最高。
ちなみになんだか米が美味しかったです。
別に特に産地とか押してる様子もなかったので私の気のせいでしょうが、、笑
久しぶりに肉をガッツリ食べれて満足でした!
ごちそうさまです!
☆エピローグ☆
会計を済ませて螺旋階段を降りる。
久しぶりの肉をガッツリ食べれた高揚感と口の中に一杯のニンニクの香りに少しの背徳感を感じながら渋谷の街に降り立つ。
あのカップルはもういない。
やはりあれは幻だったのだろう。
もしもそこにまだカップルがいたならば深呼吸するフリをしてニンニクブレスをお見舞いしてやろうと思ったがその願いは叶わないままである。
日が落ち始めているのにも関わらずまだまだ暑い熱を感じながら歩く渋谷の街並みに香ばしいニンニクの香りを残しながら歩く。
カップルに嫌な顔をされたかもしれない。
でも私は都合の悪いことは忘れるたちなので家に着いた頃にはもうすっかり忘れてしまっていた。